VRS-スタティックと電子基準点を利用したスタティック測量の実験検証
大阪工業大学 工学部 都市デザイン工学科 測量・地盤研究室さま
- 所在:大阪府大阪市
GPSの測量において、現地三角点との整合を考えた場合、最も高精度の観測は三角点を利用したスタティック測量ですが、機材や人員確保、作業効率(長時間観測)の付加が生じます。一方、VRSと電子基準点によるスタティック測量は、機材や人員が削減でき、また、VRSは短時間観測による作業短縮が見込めますが、基が電子基準点データになる為、三角点を利用した場合と同等の成果が得られないことも予測されます。
今回、大阪工業大学では、VRSや電子基準点によるスタティック測量の有効性を調査する為に、その精度・確度の実験検証を行いましたので紹介いたします。

実験概要
次の3種類の測量方法より得られる新点座標等の精度比較を行う。(新点観測データは同一データを使用)
- 1)三角点3点を用いたスタティック測量(以降、「三角点利用法」)
- 2)三角点を仮想基準点に置き換えたVRSスタティック測量(以降、「VRS利用法」)
- 3)電子基準点3点を用いたスタティック測量(以降、「電子基準点利用法」)
尚、電子基準点は、950335-交野,950336-大阪,940067-箕面を使用。三角点は、2等及び3等の点とした。

▲ 全体図
- ■使用機材
- 【 GPS受信機 】 TOPCON GP-DX1(2台)・GP-SX1(2台)・FC-7(4台)
【 解析ソフト 】 TOPCON GNSS-Pro - ■現場状況
- 淀川河川敷に新点4点(A、B、C、D)を設置する。Dは、障害物との関連調査の為に、南側約80度まで障害物に覆われている場所を選択する。

▲新点配置図

▲新点天空図
結果・考察
- 1) 標準偏差による比較(新点の解析結果)
「VRS利用法」「電子基準点利用法」「三角点利用法」の順で精度が高いことが分かった。

▲標準偏差比較表- 【考察】
- ■「三角点利用法」は他と比べて標準偏差が大きい。
⇒ 三角点の座標誤差・衛星補足の影響と推測される。
(座標データは現在、国土地理院が改測中) - ■「VRS利用法」「電子基準点利用法」の標準偏差は近値。
⇒ VRSは電子基準点データが基になる為、「電子基準点利用法」と近値になる。 - ■「電子基準点利用法」の標準偏差が「VRS利用法」より大きい。
⇒ 電子基準点の基線長(10km以上)による影響と推測される。
- 2) 座標値の比較(三角点利用法の結果を基準として比較)
- 【考察】
- ■「VRS利用法」は電子基準点がベースになる為、「電子基準点利用法」と同等になる。(各成分とも1cm以下の較差)

▲三角点利用法を基準とした比較表 - 3) 相対位置の比較検証(トータルステーションによる比較)
前述の「標準偏差による比較」を踏まえた上で、T.Sによる放射トラバース測量を行い、決定座標による相対位置の比較を行った。
※新点Bを基準とし、新点A、C、DをT.Sで観測する。

▲T.Sを基準とした比較表- 【考察】
- ■「三角点利用法」で求められた座標とT.Sで求められた座標差が大きい。
- ■「VRS利用法」「電子基準点利用法」で求められた座標とT.Sで求められた座標差では、「三角点利用法」と比較した座標差より小さい。
- ■「VRS利用法」「電子基準点利用法」とT.Sで求められた座標差を比べると、標準偏差と同様に若干「電子基準点利用法」の座標差が大きい。
「VRS利用法」「電子基準点利用法」「三角点利用法」の順で確度が高いことが分かった。また、新点Dについて、「三角点利用法」では他点よりも座標誤差が見られるが、「VRS利用法」「電子基準点利用法」では、見受けられない為、今回のような約80度の障害物であっても、衛星状況を確認の上、観測することで障害物の影響は回避できると考えられる。
まとめ
VRSと電子基準点を用いる測量では、三角点利用法と同等の成果、または、それ以上の成果が得られ、VRSと電子基準点を利用したGPS測量は有効であると考えられる。また、一般的にGPS測量ではH座標の誤差が大きいが、今回の結果では誤差も小さく機材の向上も確認することができた。

▲観測風景
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