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ご利用事例

CASE-A18

ネットワーク型RTK単点観測による
基準点(星測点)測量作業マニュアルの構築

大阪府 富田林市さま(協力:朝日航洋株式会社さま)

■ 所在地:
大阪府富田林市
■ URL:
http://www.city.tondabayashi.osaka.jp/

はじめに

工事測量等の骨格となる3・4級基準点測量を公共測量として行うには、既知点として上位の国家基準点や公共基準点を使用する必要があります。しかしながら、効率的に利用できるほどの密度で整備されていない地区においては、同時に上位の基準点測量を行わざるを得ず、経済的に過度な財政負担を強いられることになります。その為、現実には電子基準点や標石三角点からダイレクトに3・4級相当の基準点測量を実施することになり、これらの測量作業が公共測量として国土地理院に申請されない場合もあり、測量成果も当該工事の他に利用されることはあまりありません。
一方、国土地理院による「ネットワーク型RTK-GPSを利用する公共測量作業マニュアル(案)」では、ネットワーク型RTK-GPSの3・4級基準点測量の適用が認められています。また、各種の実験報告からもネットワーク型RTK-GPSによる単点観測法でもスタティック測位との差が2cm程度の範囲で一致(再現性)しているといわれています。この精度が確保できれば、単点観測による基準点(以下「星測点*1」という。)が3・4級基準点の既知点として十分利用可能であるとともに、これまで公共測量手続きを経ずに実施してきた現地測量が星測点を既知点とすることで測地座標系と関連付けて管理できるようになり、関連する成果がその他の用途にも利用可能となり、測量成果の一層の高度利用が図れるものと考えられます。

そこで富田林市は、朝日航洋株式会社と共同で測地測量分野におけるネットワーク型RTK-GPS方式によるRTK-GPS単点観測法を開発し、公共測量作業規程第16条(機器等及び作業方法に関する特例)による申請に基づいて国土地理院の助言を受け、市の公共測量に適用する事としました。ネットワーク型RTK-GPS測量の単点観測法が公共測量として測地測量分野で利用されるのは、初のケースとなります。

『RTK-GPS単点観測による基準点(星測点)測量作業マニュアル』
http://www.city.tondabayashi.osaka.jp/contents3/category06/gis/pdf/vrs.pdf

*1この方法は公共測量作業規程に規定される基準点測量や数値地形測量とは異なるため、誤解が生じないように基準点を「星測点」(GNSSによる衛星からの測位された点である衛星測位点の略称)と命名し、測量方法を「RTK-GPS単点観測による基準点(星測点)測量作業」(以下、「星測点測量」という。)として運用しています。

星測点測量の開発

星測点測量の開発にあたっては、朝日航洋株式会社の西日本空情支社及び富田林市清水町石川河川敷において再現性、適合性、整合性の3つの実験を行いました。

再現性では、同一点を時間差で繰り返し観測し、観測座標の変動量を検証しました。適合性では、実際の測量作業に適合させた実験を行い、所定の精度が得られるかを確認しました。整合性では、富田林市保有の既存基準点との整合度合いを確認しました。再現性では、その1とその2に区分し、その1では日における時間おきの変動を、合計5日間で確認しました。その結果、スタティックGPS測量結果との比較で、dxyでは平均値が10mm弱、最大値で13mmから22mm、RMS誤差で8mmから10mmとなりました。
また、その1は星測点測量作業マニュアルにしたがって1時間以上の時間を空けた観測値の較差を確認したところ、較差の絶対値で評価したところX成分、Y成分、XY成分のいずれもが21mm以下であり、となった結果は1つだけでした。
その2では、数日おきに同時間で繰り返し観測を15回にわたって行いました。その結果、dxyでは平均値が12mmから16mm、最大値が33mmから48mm、RMS誤差で15mmから20mmとなりました。適合性では、TS測量成果と比較し、1000mの距離で1/51,000の精度が得られました。整合性では6つの既存基準点を観測した結果、dxyでは仮想基準点を自動取得した観測では9mmから40mm、200mで取得した観測では7mmから20mm、1,000mで取得した観測では11mmから27mmとなりました。これらの結果から、次表のような基準点間精度を算出しました。

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▲朝日航洋(株)社屋上での再現性実験

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▲清水町石川河川敷での適合性実験

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星測点測量作業方法

星測点測量では、必要とされる星測点間距離精度にしたがって星測点間の距離を決定してネットワーク型RTK-GPS測量の単点観測法により星測点を決定し、星測点間における下位の新点においては3級相当の基準点測量を国土地理院マニュアルによるネットワーク型RTK-GPS やTS測量により実施し、閉合計算による精度確認を行います(一次基準点網)。許容誤差内に収まっていれば、更に、4級相当の基準点測量に進みます(二次基準点網)。
また、観測においては三脚を使用してGPSアンテナを固定して過誤を避けるとともに、路線を決めて間隔を時間以上空けた往復観測を行うことによって定誤差の検出と精度品質の安定化を図るようにしています。この他にも、気象による留意事項など、単点観測ゆえに生じやすい過誤を防ぐ事項を規定しています。
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■「星測点」測量作業マニュアルの観測仕様

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星測点測量における仮想点を生成するために使用する電子基準点は、測地成果2000の座標を用いて運用されているため、作業地域における既存基準点も測地成果2000で、かつ所定の精度で整備されている必要があります。富田林市では、多くの既存基準点は基準点網が測地成果2000へ変更以後にスタティックGPS測量によるGPS観測で整備しており、かつ、2005年6月にネットワーク型RTK-GPSによる測量を行い、それらの較差がXYの合成成分でも最大4cm以内であることを確認しています。
なお、他市町村で星測点測量作業を行うにあたっては、地域ごとに既存基準点(街区基準点を含む)との整合性を十分に確認しておく必要があります。

今後の展開

富田林市では、星測点測量を今後は道路台帳図の部分更新や、道路や河川の改修、小規模な面的整備事業などで、1級、2級の基準点整備が進んでいない箇所における利用を想定しており、様々な測量の成果を公共測量成果として法定図書に使用できるようにすることで、GISにおける活用に結び付けていきたいと考えています。


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