ネットワーク型RTKサービスを活用した自動音声ガイド実証実験

KDDI 様、沖縄セルラーアグリ&マルシェ 様、motti 西表島トレッキングエコツアー 様、竹盛旅館 様、沖縄県竹富町 様

概要

西表島は、2021年7月に国連教育科学文化機関 (ユネスコ) から世界自然遺産に登録され、観光客増加が見込まれています。新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、観光業界では非対面型の音声ガイドに注目が集まっています。一方、従来の音声ガイドはスマートフォンの操作が必要なものや、ガイドしてほしいものが適切に判定されないものが多く、観光への没入感が課題でした。そこで音声ガイドを高品質化することで、観光客の増加に伴う案内人不足の予防および観光客の満足度向上を目指しました。

本実証実験では、高精度 GNSS 測位の活用により、位置情報の誤差を数メートルから数 cm まで減らします。高精度 GNSS 測位用のアンテナが組み込まれたネックスピーカーやカチューシャを装着することで、音声ガイドを体験いただきました。体の向きに応じた観光案内など精度の高い非対面型の音声ガイドを実現し、観光客の満足度向上を目指しました。

<本実証実験のイメージ>

作業概要

観光客の体の向きを測定するためにGNSSコンパスの技術を活用します。GNSSコンパスはGNSS測位機器と2つのアンテナを設けることで方位を算出することができます。ウェアラブルなGNSSコンパスを活用することで、観光客が見ている方向を判定し、見ているものの案内を可能とします。

「竹富町のキャラクター『ピカリャ~』のぬいぐるみ」「ネックスピーカー」「イリオモテヤマネコの猫耳カチューシャ」に、位置情報と観光客の体の向きを測定する機器が組み込まれており、観光客は3つの中から好きなものを選ぶことができました。

本実証実験では、「星空ガイドツアー」「大富地区街巡りガイド」の2つのコンテンツを提供しました。従来の音声ガイドとは異なり、観光客の体の向きに応じて自動で音声ガイドするため、スマートフォンなど観光客の操作が不要です。

[1] 星空ガイドツアー
各観光客の位置と向いている方位に合わせて、自動的に対象となる星座に誘導し、音声ガイドを行います。八重山諸島の伝承や歴史、南十字星座について、簡単に学ぶことができましたす。また、体の向きを使って回答するクイズもお楽しみいただけました。
実証期間中に西表島で実施されるmotti主催の星空ガイドツアーの参加者が提供対象でした。

[2] 大富地区街巡りガイド
音声ガイドを利用し、西表島の大富地区を歩くことで大富地区の歴史や文化を案内するコンテンツです。

結果/導入メリット

従来の非対面型の音声ガイドによる観光案内は位置情報の誤差が大きく、反対方向の説明をするなど見ているものと内容が合いませんでしたが、ネットワーク型RTK活用の高精度位置情報とGNSSコンパスの連携により、体の向きに応じた観光案内など精度の高い音声ガイドを行うことができました。これにより、スマートフォンなど観光客の操作が不要になり、ストレスフリーな西表島観光ガイドを非対面で実現しました。

また、ネットワーク型RTKによる高精度位置情報とGNSSコンパスを組み合わせ、個人向け用途で音声ガイドに活用するのは日本初となります。

今後も新たな通信技術などを活用した西表島の観光型デジタルトランスフォーメーション (DX) に取り組み、地域社会観光の持続的成長に向けた活動を推進していきます。

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