用語解説
B
Beidou(北斗)
中華人民共和国が運用している衛星測位システム(GNSS)、2012年運用開始し現在55基の衛星があります。(2021年10月現在)
- 読み
- ベイドゥ
BINEX(Binary Exchange Format)
UNAVCOとGNSS受信機メーカにて決められたリアルタイムデータフォーマットの1つになります。
- 読み
- バイネックス
C
CLAS(Centimeter Level Augmentation System)
電子基準点を使用して計算された補正情報を準天頂衛星の信号の1つであるL6D信号から受信して、センチメートル級の精度を実現する測位方式です。測位は精密単独測位型RTK(PPP-RTK)となり、受信機1台で観測が行われますが、L6D信号の受信に対応した専用の受信機が必要になります。また、利用範囲は日本国内に限られます。
- 読み
- シーラス
CORS(Continuous Observation Reference Stations)
GNSS受信機で衛星電波を連続観測している電子基準点になります。
- 読み
- コーズまたはコアーズ
CPA(Closed Packet Access)
全国で提供しているau携帯電話のパケット通信網から「IP-VPNサービス」などのイントラネットサービスを経由して企業内のLAN等に接続するリモートアクセスサービスです。auパケット通信網とKDDIの「IP-VPNサービス」等でお客さま間を直接接続する閉域ネットワークにより、高いセキュリティを確保できます。
- 読み
- シーパ
CSSR(Compact state space representation)
CLASで提供されている補正情報のフォーマットです。精密な衛星軌道や時刻補正、衛星信号のバイアスといったグローバル補正情報のほかに、電離層や対流圏といったローカル補正情報の送信にも対応しているため、精密単独測位型RTK(PPP-RTK)を行うための必要な情報が提供できます。
- 読み
- シーエスエスアール
D
DGNSS (Differential GNSS)
GNSS測位の相対測位方式の一種です。座標既知点である固定観測局で補正観測情報を算出し携帯電話や無線モデムを利用して移動観測局に送信します。 移動局では送信されてくる補正観測情報と自局の観測情報を利用して即座に移動局に於ける位置情報を求めることができます。 精度はサブメートル程度で、主にナビゲーションシステムなどの精度向上用として利用されています。
- 読み
- デファレンシャルGNSS
DOP(Dilution of Precision)
天空の衛星配置による測位精度の低下率を数値で表したもので以下の種類が有ります。全て数値が大きくなるほど精度が低くなります。
- GDOP
- 幾何学的精度低下率
- HDOP
- 水平精度低下率
- PDOP
- 位置精度低下率
- RDOP
- 相対精度低下率
- TDOP
- 時刻精度低下率
- VDOP
- 垂直精度低下率
- 読み
- ドップ
F
FIX解
RTK測位計算に使用する搬送波位相が定まった測位解(座標値)で、5mm~20mmの精度になります。
FIX率
すべての測位解に対するFix率の割合で、100%に近い程安定した測位と判断できます。
FKP (Flächen Korrektur Parameter:ドイツ語)
GNSS測位の精度向上や生産性向上を図る目的で開発されたシステムです。複数基準局(電子基準点など)の観測量により求められるパラメータからリアルタイム測位等に使用されます。正確な位置が分かっている基準局の観測量から生成される電離層等の状態空間モデルより各基準局に対応した観測者周辺の誤差量を面補正パラメータとして算出できる為、観測者は基準局の面補正パラメータを取得して概略位置の補正量を計算することでセンチメートル精度の測位が可能になります。
- 日本語表記
- 面補正パラメータ
FLOAT解
RTK測位計算に使用する搬送波位相が定まっていない測位解(座標値)で、10cm~数mの精度になります。
G
Galileo
欧州(EU)が運営する衛星測位システムでGPSやGLONASSと同様に全世界での利用が可能です。AltBOC型と呼ばれる信号があり、E5信号のE5aとE5bを1つに合成したもので、マルチパスに強いという特徴があります。
- 読み
- ガリレオ
GEONET
国土地理院が、全国1300ヶ所の電子基準点を使用し地殻変動監視・高精度な測位網構築を目的とした観測システムになります。
- 読み
- ジオネット
GGA,GPGGA
NMEA-0183で規定された通信プロトコルの一種で、正確には$GPGGAです。ジェノバでは、ユーザから位置情報を取得する方法として、NMEA-0183で規定されている$GPGGAフォーマットを使用しています。
GIS(Geographic Information System)
都市・環境・資源に関係する多様で膨大なデータ量を蓄積し、多角的な視点から速やかに統計処理を行い提供できるよう開発されたシステムのことです。
- 日本語表記
- 地理情報システム
GLONASS(Global Navigation Satellite System)
ロシア宇宙軍が運用する。航空機や船舶の位置を求める為に開発した衛星測位システムです。
GNSS(Global Navigation Satellite System)
米国GPSだけでなく各国の測位衛星を総称とした測位システムの総称で、日本QZSS・ロシアGLONASS・欧州Galileo・中国BeiDou・インドNavICなどがあります。
- 読み
- ジーエヌエスエス
GNSS受信機
GPSやGLONASSといった衛星測位システムを構成する「宇宙部分」「管制制御部分」「利用者部分」のうちの利用者部分にあたります。多くは衛星からの電波を受信するアンテナと繋がっており、受信機側では受信した信号の解析を行ないます。身近なものではカーナビや携帯電話に内蔵されているものもあります。
GNSS測位
GPSやGLONASSといった衛星測位システムを用いて地球上の自分の位置を測ることです。衛星からの電波の到達時間を元に衛星と受信機間の距離を算出できることから、複数の衛星との距離を用い3次元的な位置を算出する方法を測位の原理としています。
GPS(Global Positioning System)
アメリカ国防総省が航空機や船舶の位置を求めるために開発した衛星測位システムです。
- 地球をカバーする24個の衛星で構成される「宇宙部分」
- 衛星の軌道の監視と発信電波の制御を行う「管制制御部分」
- 航空機や船舶等の位置を決定するための「利用者部分」
の3つから構成されています。
I
IGS(International GNSS Service)
IAG(国際測地協会)の下に設立された国際事業で、全世界のGNSS測位維持の為の精密歴などGNSSに関する様々な情報を提供しています。日本は8ヶ所のIGS点を運営しGNSSデータを提供しています。
- 読み
- アイジーエス
ITRF(The International Terrestrial Reference Frame)
IERS(国際地球回転事業)が構築した座標系になり、地球の重心を原点として、X軸はグリニッジ子午線と赤道との交点の方向、Y軸は東経90度の方向、Z軸を北極の方向とした3次元直交座標になります。
J
J-View
ジェノバのリアルタイム配信サービス利用ユーザー向け観測支援ツール、現在の観測状況などが確認できます。
- 読み
- ジェイビュー
M
MADOCA
JAXAが開発を進めてきた精密衛星軌道推定と時刻推定を行うソフトウェアであり、精密単独測位(PPP)に必要な補正情報を生成します。電離層や対流圏といったローカル補正情報の生成には対応していませんが、MADOCAで生成された補正情報の利用範囲は日本国内に限らず、海外でも対応可能です。
- 読み
- マドカ
N
NavIC(IRNSS)
インドの衛星測位システムであり、インド上空で長時間衛星が観測できるように傾斜対地同期軌道(IGSO)と静止軌道(GEO)に衛星を配置して運用されています。
- 読み
- ナビック
NMEA-0183(National Marine Electronics Association-0183)
全世界の船舶で広く使用されているデータ伝送規格で、船舶用計器間の電気的インターフェイスと通信プロトコルについて規定しています。この通信プロトコルで、位置情報の表現が規定されており、GNSSではこの規格を採用しています。ジェノバでは、ユーザから位置情報を取得する方法として、NMEA-0183で規定されている$GPGGAフォーマット等を使用しています。
Ntrip(Networked Transport of RTCM via Internet Protocol)
インターネット回線を使用したGPSデータ通信プロトコルです。RTCM団体からver1.0,ver2.0の規格書が出版されています。
- 読み
- エヌトリップ
P
PPK(Post Processing Kinematic、後処理キネマティック方式)
GNSS受信機を設置した固定局と移動局の2台で同時観測したデータを後処理解析して移動局の座標を求める方式になります。
- 読み
- ピーピーケイ
PPP(Precise Point Positioning)
精密単独測位。GNSS衛星の精密軌道・時刻推定による補正データを使用してセンチメートルレベルの精度で単独測位を行う方法になります。
- 読み
- ピーピーピー
Q
QZSS(Quasi-Zenith Satellite System、みちびき)
日本が運営する測位衛星で現在4機打ち上げられ全7機構成の測位システムです。8の字軌道が特徴で天頂に1機は見える為どこでも測位出来ることが期待されています。 QZSS・みちびき・準天頂衛星と呼び名があります。
- 読み
- キュージーエスエス
R
RINEX(The Receiver Independent Exchange Format)
GNSS受信機で受信したデータに関する共通データ書式(フォーマット)になります。受信機メーカー独自の書式を共通化する目的で策定されました。
- 読み
- ライネックス
RRS(real リファレンス ステーション)
複数のGNSS実基準局になり、ネットワーク型RTKのデータ生成等に使用されています。
- 読み
- アールアールエス
RTCM (Radio Technical Commission For Maritime Services)
GNSSデータの標準フォーマットを定めています。Network型RTKでは、センターより、このRTCMのフォーマットに基づいたデータが配信されます。ジェノバではVer3.2MSM5, Ver3, Ver2.3の配信を行っています。
RTK (Real Time Kinematic)
GNSS測位の相対測位方式の一種です。座標既知点である固定観測局からその地点の位置座標と観測情報を携帯電話や無線モデムを利用して移動観測局に送信し、 移動局では送られてくる固定局の情報と自局の観測情報を利用して即座に移動局に於ける位置情報を求めるものです。精度は1cm程度で後処理に比較して若干劣るが生産性は大きく変わるため、 土木・測量業界では期待されている測位方法です。
- 読み
- リアルタイムキネマティック
S
SBAS(Space Based Augmentation System)
静止衛星の補助信号でGNSS測位の誤差を補正するシステムの総称。日本では運用多目的衛星(MTSAT)を使用して補正データが提供されていましたが、衛星寿命による運用終了に伴い、2020年4月より準天頂衛星の静止軌道衛星によるL1Sb信号により新たに補正データの提供が開始されました。
- 読み
- エスバス
SLAS(Sub-meter Level Augmentation Syetem)
準天頂衛星の信号の1つであるL1S信号から衛星測位の誤差軽減を目的とした補強情報(電離圏遅延や軌道などの関連情報)を送信し、サブメータ級の測位を実現する補強サービスです。利用範囲は日本国内に限られます。
- 読み
- エスラス
SSR(state space representation)
GNSS測位で使用される各衛星の状態や地域毎の大気の状態を表現したモデルであり、精密単独測位(PPP)や精密単独測位型RTK(PPP-RTK)を行うために必要な補正情報となります。CLASやMADOCAによる補正情報はこのSSRに分類され、PPPサービスに応じて様々なフォーマットが提案されています。
- 読み
- エスエスアール
T
TTFF(Time to First Fix)
World Geodetic System(初期位置算出時間。GNSS受信機の電源投入後から最初のFix解が求まるまでの時間になります。
- 読み
- ティーティーエフエフ
W
WGS84(World Geodetic System 1984)
World Geodetic System(世界測地系)1984の略語で米国が構築している世界測地系になります。
あ
1周波、2周波
World Geodetic System(GPSから送信される信号は、周波数の異なるL1帯(1575.42MHz)とL2帯(1227.60MHz)があり、L1帯が1周波、L2帯が2周波となります。
また、最新のGPS衛星からは新たにL5帯(1176.45MHz)のほか、GLONASSといったその他の測位システムからも複数の周波数帯で信号が送信されており、安定してRTK測位を行う場合は2周波以上の信号に対応した受信機が必要になります。
一重位相差、二重位相差
RTK等による相対測位方式では、高精度な測位を行うために固定局と移動局による受信機間の時計誤差と受信機で観測されている衛星間の時計誤差を消去する必要があり、その方法として測位計算の過程で二重位相差が使用されます。二重位相差は、一重位相差を組み合わせることで行われ、一重位相差は、固定局と移動局で観測された同一衛星の搬送波位相の差分を計算することで求められます。これにより、衛星の時計誤差が消去されます。二重位相差では、異なる衛星間で得られた一重位相差の結果に対して差分を計算することで求められ、これにより、受信機の時計誤差が消去されます。
か行
仮想点方式(VRS、Virtual Reference Station)
GNSS測位の精度向上や生産性向上を図る目的で開発されたネットワーク型GNSS測位技術の一つです。60km程度の間隔に配置されたGNSS固定観測局で、GNSS衛星から発せられる電波を常時モニタリングすることにより、上空の電離層、対流圏の状態や衛星の軌道に関する情報を掌握し、それらの誤差要因を考慮し固定観測局情報として移動観測局に提供するものです。 リアルタイムにセンチメートル精度の位置決定できる「RTK固定観測局情報」と、サブメートル精度の位置を決定できる「DGPS固定観測局情報」並びに、後処理解析によってミリメートル精度の位置情報を決定できる「後処理データ」があります。 さらにリアルタイムの補正情報サービス形態としては、携帯電話などを利用する双方向通信と、テレビやラジオ電波のような放送型に分けられます。
干渉測位方式
2台の受信機で同時刻に受信した搬送波データから衛星までの距離を算出して2点間の基線ベクトルを決定する方式になります。
間接観測法
公共測量作業規程の準則で定められているGNSS受信機を用いたRTK測位の観測方法になります。固定局及び2か所以上の移動局で同時にGNSS観測を行い、基線解析で得られた2つの基線ベクトルの差を用いて移動局間の基線ベクトルを求めます。
基線長
GNSS受信機を設置した点間の距離になります。
基線ベクトル解析
2台以上の受信機で受信したGNSS衛星の信号から点間の基線ベクトルを算出します。
公共測量
測量に必要な費用の全部、または一部を国や公共団体が負担・補助して実施する測量になります。
航法暦、精密暦
衛星測位計算をするには受信した信号の衛星が地球上の正確な位置が必要となり、衛星から送信されている航法歴(放送歴=エフェメリス、アルマナック)と後処理用にIGSが計算しダウンロード可能な精密歴がある。精度はアルマナック(数百m~数Km)>エフェメリス(数m)>精密歴(数cm)となります。
国家座標
その国の位置の基準。日本では測量法第11条で定められた基準に準拠した緯度、経度、標高、平面直角座標、地心直交座標になります。
さ行
作業規程の準則
測量目的に応じた作業規程を作成するための標準的な規準になり、測量法第34条の規定に基づき国土交通大臣によって定められています。
三角点
正確な位置を求める測量の為に国土地理院が設置した位置の基準となる点になります。
ジオイド
日本の標高の基準となる平均海面を仮想的に陸地へ延長した面になります。
ジオイド高
楕円体面からジオイドまでの高さになります。
準天頂衛星
日本の衛星測位システムであり、日本の天頂付近で長時間観測できるような軌道を持つ準天頂軌道(QZO)と静止軌道(GEO)に衛星を配置した構成で運用されています。GPSと互換性のある測位信号が送信されるほか、CLAS等の測位補強サービスが提供されます。また、現在は4基体制での運用のため、GPS等の測位システムと併用する形で利用されていますが、将来的には準天頂衛星単体で測位可能な7基体制での運用が計画されています。
準同時観測
公共測量作業規程の準則で定められているGNSS受信機を用いたRTK測位の間接観測法の一つになります。1台準同時観測方式による間接観測法は、移動局間の移動と観測を速やかに行い、それぞれの観測で得られた三次元直交座標の差から移動局間の基線ベクトルを求めます。
水準点
水準測量に使用される標高の基準点になります。正確な高さの値を必要とする作業において水準測量の基準に使用されます。
スタティック測位式
干渉測位の1つになり、複数台の受信機で長時間観測する方法になります。測量業務等の高精度が必要な作業に用いられます。
世界測地系
地球上の位置(緯度・経度・高さ)を表す基準の1つであり、地球の形状を近似させた準拠楕円体と地球の重心を原点とする3次元直行座標系で構成されます。日本の測地系も、2002年4月1日より日本測地系から世界測地系へ移行しており、現在のところ、GRS80楕円体とITRF(国際測地基準座標系)を組み合わせて求められた測地成果2011(JGD2011)が定められています。
セミ・ダイナミック
日本列島は4つのプレート(北米プレート、ユーラシアプレート、太平洋プレート、フィリピン海プレート)の境界に位置しており、それぞれ別方向に動くことから複雑な地殻変動が起きています。これにより、精密単独測位(PPP)等で得られる絶対座標(今期座標)と測地成果2011で定められた成果座標(元期座標)が時間経過とともにずれていきます。この、地殻変動による座標のずれを補正する方法の1つとして、国土地理院より提供されているセミ・ダイナミック補正があり、国土地理院のホームページ上で計算サイトと地殻変動補正パラメータファイルが公開されています。
相対測位
2台以上の受信機でGNSS観測を行い衛星信号が受信機に到達する時間差を測定して2 点間の相対的な位置関係を算出します。
測地成果2011(JGD2011)
日本国内の位置(緯度・経度・高さ)を表した現在の測地基準であり、2011年10月に公開されました。2002年4月に日本測地系から世界測地系に移行した際は測地成果2000(JGD2000)が定められていましたが、東日本大震災による地殻変動に伴い、新たに測地成果2011(JGD2011)が定められました。
た行
対流圏遅延
GNSS測位で使用される各衛星からの電波が、対流圏(地上から約16kmまでの大気の層)を通過した際に生じる伝搬遅延による誤差です。気温や気圧などにより対流圏の状態は変化するため、季節や気象状況によって誤差量も変化します。RTK等による相対測位方式では、固定局と移動局間の基線ベクトルが短い場合、受信した電波が同じような大気条件の中を通過するため、観測値に含まれる対流圏遅延誤差は消去されます。
楕円体高
GNSSから得られる高さはWGS84の楕円体面からの高さで楕円体高といいます。
単点観測法
ネットワーク型RTKで使用される仮想点又は電子基準点を固定点とした放射法によるRTK測位の観測法になります。
単独測位
1つの受信機で同時に4個以上の測位衛星から電波を受信し、各衛星からの距離を算出して測位する方法です。距離の算出には測位衛星から送信される搬送波に乗ったC/AコードやPコードを利用します。測位精度は概ね数10m程度です。
電子基準点
国土地理院により全国約1,300ヶ所に設置されたGNSS連続観測点になり、地震・火山噴火等の地殻変動の監視に使用されています。また データ配信機関を通じて位置情報サービス事業者に配信され、ネットワーク型RTK-GNSS等、リアルタイムに高精度の測位に活用されています。
電離層遅延
GNSS測位で使用される各衛星からの電波が、電離層(地上約50km~約1000kmまでの領域)を通過した際に生じる伝搬遅延による誤差であり、太陽活動や昼間と夜間の時間帯で影響が変化します。電離層遅延誤差は電波の周波数によって影響が異なるので、衛星から送信される2周波以上の電波を使用することで遅延量を推定し誤差を低減させることができます。また、対流圏遅延と同様に固定局と移動局間の基線ベクトルが短い場合、同じような条件の電離層を受信した電波が通過するため、観測値に含まれる電離層遅延誤差は消去されます。
同時観測
公共測量作業規程の準則で定められているGNSS受信機を用いたRTK測位の間接観測法の一つになります。2台同時観測方式による間接観測法は2か所の移動局で同時に観測を行い、それぞれの観測で得られた三次元直交座標の差から移動局間の基線ベクトルを求めます。
トランシット(Total Station)
トランシットは望遠鏡と目盛り盤を備えた精密な測角器械。三角測量や多角測量などで使用されます。
な行
ネットワーク型RTK-GNSS
複数のGNSS固定局の観測データを利用して、固定局と移動局の距離に関係なく、短距離基線のRNSS-GPSと同等の精度を実現する測位方式。この方式には仮想点方式や面補正方式といったものが含まれます。
は行
標高
東京湾平均海面を基準(標高0m)とした高さ。衛星測位で得られる高さはWGS84やGRS80等の準拠楕円体面からの高さ(楕円体高)となるので、楕円体高からジオイド高を引くことで標高を求めます。
ま行
マウントポイント
インターネットを介したGNSS補正データの通信プロトコルであるNTRIPにおける各ストリーミングデータ毎のIDになります。
マルチパス
周辺の壁から反射して受信した信号をマルチパスと言います。マルチパスがあると測位誤差が発生する為小さくする方法を受信機メーカや測位ソフトウェアなどで対応が必要となります。
民間等電子基準点
国土地理院に性能評価・級別に登録された民間等のGNSS連続観測局になります。
面補正パラメータ
面補正方式で用いられる、基準局(電子基準点)の観測量から電離層等の状態空間モデルを生成した後、このモデルから補正情報を計算し、各基準局に対応した移動局周辺の誤差量のこと。移動局で受信した面補正パラメータと概略位置における補正量を計算して移動局の位置を求める。
面補正方式
GNSS測位の精度向上や生産性向上を図る目的で開発されたネットワーク型GNSS測位技術の一つです。複数基準局(電子基準点など)の観測量により求められるパラメータからリアルタイム測位等に使用されます。正確な位置が分かっている基準局の観測量から生成される電離層等の状態空間モデルより各基準局に対応した観測者周辺の誤差量を面補正パラメータとして算出できる為、観測者は基準局の面補正パラメータを取得して概略位置の補正量を計算することでセンチメートル精度の測位が可能になります。
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