ネットワーク型RTK法による単点観測法に基づき行う登記多角点測量(研修)

岐阜県土地家屋調査士会 岐阜支部

所在地
岐阜県岐阜市田端町1番地12
URL
https://www.gifushibugicho.com/

概要

土地家屋調査士は、不動産に関する面積、形状、用途、所有者といった情報を、法務局における登記情報に正確に反映させるために、土地や建物の測量・調査を行う専門職です。

岐阜県土地家屋調査士会・岐阜支部では、土地家屋調査士の業務改善進歩を図るため毎年実務研修会を行っており、令和5年度は単点観測法について取り上げました。

・単点観測法について

対象の土地を測量するにあたり、基準点として登記多角点を利用しますが、近傍に登記多角点がない場合は新設しなければなりません。
登記多角点の新設のためには、近傍の基本三角点から測量を行い、設置します。
残念ながら三角点や多角点が亡失することがあり、その場合は新たな多角点設置に多くの労力が割かれてしまいます。

そこでネットワーク型RTKによる単点観測法(周囲の既知点を使用しないで新点を求める方法)により、登記多角点が新設可能となりました。
(但し近傍に基本三角点が存在しない、基本三角点に基づく測量ができない特別な事情がある、精度区分「甲一」でない区域の場合は使用可能)
これにより調査士業務が大幅に軽減されることが期待できるため、本件をテーマに指導を行いました。

今回はジェノバのネットワーク型RTK(VRS)を使用し、単点観測法に基づく登記多角点測量を想定して実習を行いました。

実習風景

作業概要

2点の登記多角点を新設しました。
観測にVRSを使用するにあたり、GNSS衛星はGPS、GLONASSを利用し、仮想点位置は指定して(観測点から500m以内)観測を行いました。

帳票に記載する観測値は平均値になります。

1)周辺の基本三角点等の整合性の点検観測
2点の既知点(今回三角点と見立てます)をそれぞれ2セット観測して、1セット目と2セット目の較差を確認します(XY座標それぞれ20mm以下)制限値を超えたら再測します。
既知点の点検は、新設する登記多角点から5km以内の三角点で2点以上確認します。

2)新点の本測量
新設登記多角点の観測をそれぞれ2セット観測し、1セット目と2セット目の較差を確認します(XY座標それぞれ20mm以下)、制限値を超えたら再測します。

3)新点の点検測量
仮想基準点位置を変更して、再度新設登記多角点をそれぞれ観測します。2)と同様各点2セット観測し、較差を確認します。

4)新点のTSによる点検測量
最後に新設登記多角点間をTSで観測し、VRSで観測した点間距離との較差を確認します。
(平地は1/2000※点間距離20m以内は10mm以内、山地は1/1000)

上記を経て登記多角点を新設でき、同点を基準として土地の測量(筆界点測量)が可能となります。

結果/導入メリット

利用できる条件があるものの、従前の基準点設置や復旧のための測量業務を省くことができるだけでなく、ネットワーク型RTKを使用することで観測そのものの負荷もなくなり、大幅に作業コストを減らすことが期待できます。

また、1級GNSS測量機を使用しなければなりませんが、昨今以前に比べ安価なモデルが登場しているため、活用機会の障壁も低くなってきました。

受講者から以下のようなコメントをいただきました。

「実際に実証実験をしてみるまでは、どの程度の成果が得られるのかと半信半疑でしたが、単点観測法でもかなりの精度が得られることが分かりました。
実際には天空状況や周囲の地物などの影響も考慮しないといけないと思いますが、実務でも十分使用に耐えると思いました。
今後積極的に活用していきたいと思います。」

【ご注意】「単点観測法に基づき行う登記多角点測量」の利用可否については、発注者様とご確認の上、ご活用ください。

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