「複数回線およびマルチGNSS測量を活用したネットワーク型RTK法による広範囲観測」について
株式会社水野建設コンサルタント 様
- 所在地
- 熊本県熊本市東区小峯2丁目6-26
- URL
- https://www.mkc.co.jp/
概要
株式会社水野建設コンサルタントは、昭和27年2月に熊本県測量業登録第1号として創業以来、70年以上にわたり地域社会発展のために、道路や河川などのインフラ整備業務(測量・設計・補償など)に貢献してきました。
また、デジタル技術を活用した測量のインフラ分野DX実現のため、レーザースキャナーやドローンなどの先端技術導入を積極的に取り入れ、3次元測量の普及・効率化および地理空間情報の有効活用を推進しております。
高精度測位の効率化および生産性向上を目的に、2022年5月にニコン・トリンブル社製「Trimble R12」(アンテナ一体型測量用マルチGNSS受信機)を導入。本業務でのネットワーク型RTK法による観測においても活用しております。


今回実施した「複数回線およびマルチGNSS測量を活用したネットワーク型RTK法による広範囲観測」は、直轄河川の定期縦横断測量に伴う距離標台帳の更新を目的に、広範囲にわたる距離標座標確認を、複数回線を活用したネットワーク型RTK法およびマルチGNSS測量により対応し、高精度測位かつ作業効率向上を図るものです。
作業概要
(1)作業計画
対象範囲(27km)の現地踏査を行い現地の距離標を確認しました。270点余りの距離標座標観測を行うにあたり、作業期間の短縮を図るために、複数班体制を構築してのネットワーク型RTK観測が必要でした。
(2)複数班体制(複数回線の活用)
複数班体制での観測にあたり、株式会社ジェノバとのリアルタイムデータ配信の内容を確認しました。計画時点の「従量プラン」に加え、接続時間に制限のない「定額プラン」を追加しました。短期間集中の観測作業に対応するため、2台のGNSS測量機を用いた観測を行っています。


(3)距離標座標確認
対象範囲(27km)の広範囲の距離標座標確認にあたり、左・右岸に分かれた作業に着手し、ネットワーク型RTK法による観測を実施しました。
山間部などで上空視界などに制約があり、作業規程の準則第 37 条(観測の実施)に規定するGNSS衛星の組合せのみでFIX解を得られない箇所では、「マルチGNSS測量マニュアル(案)令和2年6月」を活用し、Galileo衛星を追加したマルチGNSS測量を実施することで、距離標座標を取得しました。


(4) 距離標設置測量
亡失箇所においては、距離標設置測量を行いました。設置については、ネットワーク型RTK法による測線誘導により実施しました。後視点を必要としないため、TS法と比較しても、作業時間の短縮が図れました。なお、設置後は再度ネットワーク型RTK法による観測を実施して距離標座標値を更新しました。


結果/導入メリット
(1) 複数回線の活用(複数班体制の構築)
広範囲の観測作業において、作業効率を考慮すれば複数班体制は必須であり、複数回線を導入することで対応しました。回線を追加したことでデータ配信費用は増加しますが、接続時間に制限のない「定額プラン」を作業繁忙期のみ契約することで経費の増加を最小限に抑えることが可能となりました。
(2) マルチGNSS測量の活用(Galileo衛星の追加)
株式会社ジェノバではGalileo衛星に対応したNtrip方式のデータ配信を行っており、マウントポイント設定を変更することでマルチGNSS測量を活用した、ネットワーク型RTK法の実施が可能となります。
マルチGNSS測量を活用することで、利用可能な衛星数は増加し、衛星系の組み合わせも拡大することで、高精度測位および作業効率の向上も図れます。
「マルチGNSS測量マニュアル(案)令和2年6月」は、作業規程の準則(第 17条第3項)に規定されている国土地理院が定めた新しい測量技術による測量方法に関するマニュアルであり、マルチGNSS の信号を活用することで、ビル街や山間部等といった上空視界に制約がありGPS だけでは測量が難しい地域でも、測量できる場所や時間の拡大が期待されています。

※国土地理院HP(マルチGNSS 測量 −近代化GPS、Galileo 等の活用)より抜粋
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