ネットワーク型RTKを活用したICT浚渫工について
株式会社 若港 様
- 所在地
- 福岡県北九州市若松区くきのうみ中央7番18号
- URL
- https://www.wakamatsu-kk.com/
概要
当社は1967年8月設立以来、北九州における港湾・ 響灘の開発と地域発展のため、港湾土木・浚渫を主体に、技術の研磨、設備の大型化・IC化と試行錯誤を繰り返し、成長してまいりました。
当社では長年、関門航路の浚渫工事を行っております。
関門航路は幅も狭く潮流が激しい難航路で、国際航路として多くの船舶の航行が行われる重要な航路になります。さらに昨今は輸送能力の向上ため船舶も大型化しており、航路水深-14m化に向けて航路整備が進められています。
浚渫工は海底を掘削することで、航路や泊地の延長・拡幅・増深、維持・保全を目的とし、様々な船舶が安全に航行できるようにします。
関門航路という難航路かつ重要な国際航路に対応すべく、自社にて大型グラブ式浚渫船を建造、ICT浚渫工に対応することで短時間かつ効率的な浚渫を目指しました。
浚渫船の位置、海底を掘削するグラブの投入位置は、GNSSによる位置取得が重要な役割となります。
しかしながらGNSSを使った正確な位置情報の取得にあたり、自社で基準局を設置したり、他社補正情報を使用しましたが、場所によっては受信状況が思わしくなく位置決めに時間を要し、施工効率が低下しました。
そこでGNSSによる位置取得にネットワーク型RTKを採用することで、安定かつ精度の高い位置情報が素早く取得できるようになりました。

作業概要
浚渫工は施工範囲に浚渫船を固定し、グラブバケットを掘削位置に降下します。
(浚渫船はスパッドと呼ばれる赤白の杭を海底に挿入することで、船体は地上と変わりない状態で固定されます)
グラブバケットを引き上げ、土砂運搬船に掘削した土砂等の積み込みを繰り返すのですが、正しい施工位置にグラブバケットを投入し、次にラップしてクラブバケットを投入するため、高い精度の位置情報が求められます。
高い位置精度を使用して施工できれば、ラップ幅も少なくなり、掘削の生産性が向上します。
当社ではICT浚渫工を導入しており、船内にある施工管理システムに情報を集約し、出来形や進捗を管理しています。
一例としましては、GNSS位置情報と超音波測深ソナーを使用して、必要な位置と出来形(深度)をリアルタイムに可視化・管理することができ、堀り残しや海底地盤の変化を監視することができます。


結果/導入メリット
自社で基準点設置・管理を行わず、場所を問わず、常時センチメートル級の位置情報が取得できることから、位置情報を取得するための手数も減り、かつ誤差の少ない正確な施工ができることで、手直しが激減し、高い生産性を実現することができました。
なお位置情報は国家座標のため、ジェノバ社のような国家座標に対応した配信情報は必須です。
またICT化により作業状況がわかりやすくなることにより、技術継承が容易になり若手乗組員でも対応できるようになったり、更なる生産性の向上(自動化などによる省人化)の道筋が見えてくることも、メリットと言えます。
水面から海底までの深さはソナーで計測できますが相対値であり、絶対値は験潮所の高さを使用しています。
しかし、験潮所の高さには誤差が含まれていることもあり、そのまま使用すると設計通りの深さまで掘削できていない可能性があります。この課題に対しても、GNSSで取得した高さを活用できないか検討しています。
今後も培った技術力と経験を活かし、新しい技術を採用し、地域社会への貢献という使命を忘れず、誠意をもって工事施工を行い、業界のトップランナーを目指してまいります。
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